個人的にめっちゃ好きです。
正確には「俺しか知らないカラダ」の受けが、めっちゃ好きでした。
空気感のある漫画を読みたい人には、特におすすめします。
逆に、がっつりエロを読みたい人には、おすすめしづらいです。
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おすすめする人
「俺しか知らないカラダ」をおすすめする人はこんな人です。
- 空気感のある漫画を読みたい人
- 格差恋愛のハピエンが読みたい人
空気感のある漫画を読みたい人
「俺しか知らないカラダ」は空気感のある漫画でした。
空気感とは、直接的な表現ではなく、間接的に示唆した表現という意味です。
「僕は君のいいなり」の感想でも書きましたが、ここでも説明します。
例えば、主人公が辛い状況に会うシーンを描写する場合、下記のようなやり方があります。
- 主人公が「辛いなあ」と言う
- モノローグで「辛い・・・」と入る
- テレビに映っているドラマの登場人物が、主人公と似たような状況に会い「辛い」と叫んでいる
- 雨が降り出して、主人公が黙って濡れる
上に行くほど、漫画的で、下に行くほどリアルになると思います。
下の2つは、言葉で表現するのではなく、主人公以外に代弁させる形で、主人公の辛さを表現しています。
はっきり言葉にすれば、漫画的には、わかりやすくなります。
しかし、実際に辛い目に合うと、なかなか言葉は出てきません。
そのため、本人の言葉が少なければ少ないほど、リアルな空気感が出ると思います。
「俺しか知らないカラダ」は、特に受けのモノローグやセリフが少なく、絵で表現しています。
そして「俺しか知らないカラダ」が、他の漫画と違うのは、微妙な表情変化を、デフォルメすることなく描き分けていることだと思います。
特に個人的に印象的だったのが、攻めのことを、目を見開き、潤んだ瞳で、正面からまっすぐ見つめる受けの顔です。
受けの顔を見るだけで、攻めに深い恋心を抱いていることが、強く伝わってきます。
好きの強さを表現する方法はいろいろあると思います。
例えば、
- 攻めがいかに好きかを語りまくる
- プレゼントやアプローチに精を出す
- 攻めと会っていない間も、攻めのことに思いを巡らす
などです。
「俺しか知らないカラダ」の場合は、上記のような描写がなくても、受けの表情を見るだけで、どれだけ好きかが伝わってきます。
「俺しか知らないカラダ」は、好きな人ができた時、人はどんな表情になるのか、を深く理解して描かれているんだなあ、と思いました。
そのため私は、無口だけど、何を考えているか表情に強く出る「俺しか知らないカラダ」の受けが、とても愛おしく感じました。
そして、好きなのに、攻めに求めることをせず、健気に思い続けている、受けを見ていると、受けの恋心が報われてほしいと、強く思うようになりました。
健気な受けの恋心が報われるかどうかが、「俺しか知らないカラダ」の見所の1つです。
格差恋愛のハピエンが読みたい人
「俺しか知らないカラダ」は、リア充の攻めと、真面目な受けの恋愛を描いています。
攻めの方は、人付き合いがうまく、女慣れしており、人気者です。
対して受けの方は、教室の隅で勉強をしているような、地味で目立たないタイプです。
二人の間には、スクールカーストによる格差があります。
最初は、受けが一方的に攻めが好きな状態でした。
攻めは、興味本位で受けに付き合います。
しかし、健気な受けを見て、だんだん絆されていきます。
最初は、自分本位で受けに接していた攻めでしたが、最終的には受けを幸せにしたいという、愛情に芽生えます。
健気さ1つで、人を180度変えてしまった受けの愛らしさはすごいな、と思う次第です。
攻めの変貌ぶりを表すシーンを1つご紹介します。
最初の頃の攻めは、受けが攻めに告白した時、かなりゲスい顔で、けっこう酷いことを言います。
そのセリフがこちら。
攻め「俺って、こういう誘いは断らないタチだから。でも一つだけ。お前にハマる気はねーけどいいよな?」
すごいですよね。
人の気持ちを弄んでいます。
しかし、最後の方の攻めは、受けが暗い顔をしていることに、すぐ気づき、フォローを入れるような、気遣い屋になります。
そのシーンがこちらです。
攻め「(受けが選んだお酒を見て)それ好きなのか?」
受け「あ・・・別に。初めて飲んだやつだから・・・飲んでるだけ。」
攻め「今までそれしか飲んだことねえのか?お前、そういうタイプなんだな。それが気に入っているなら、別にいいけど。そればっか飲んでて、つまんなくねぇ?」
受け「(攻めが選んだお酒を見て)・・・良平(攻め)は、それが好きなの?」
攻め「飲んだことないやつ選んだから、まだわかんねえ。悪くはないけど。」
受け「僕も違うの飲めばよかったかな。良平(攻め)は、経験が多いだろうから。」
攻め「たしかに、そういうとこあるかもな。俺は飽きやすい方だからさ・・・。今更だけど、お前とは全然タイプが違うっつーか」
受けは、とても不安そうな顔をする。
受け「あっごめん」
受けは俯く。
攻めは、受けの肩を抱き、俯いた受けの顔を覗き込む。
攻め「え!?待て。さっきからなんだ?何考えてる?だから嫌いってことじゃねえだろ。お前はお前。違ってもいいよ。ばかなこと考えやがって。」
私は、このシーンを見て、攻めの観察眼に感服しました。
- 相手の表情の変化を見逃さない
- 相手が俯いて誤魔化そうとしても、放って置かず、顔を覗き込み、しっかり表情を確認しようとする
- 自分の考えを言えない相手に、「何を考えてる?」とちゃんと聞こうとする
- 不安がっているが、不安を言葉にできない相手に対して、肩を抱いて安心させようとする
こんな包容力のあること、なかなかできないと思います。
思えば、攻めは最初から気の回る人でした。
受けは、とても大人しい性格で、無口です。
その代わり気持ちが、表情にとても出ます。
攻めは、受けの表情を見て、受けの気持ちを察していました。
最初のうちは、気持ちを察しながら、弄んでいました。
しかし後半では、気持ちを察する力を、受けの気持ちを拾い上げ、受け止めるために使っています。
こんな気遣いのある人に愛されるようになった物語は、まさにハッピーエンドの物語だと思います。
おすすめしない人
「俺しか知らないカラダ」をおすすめしない人はこんな人です。
- 愛憎入り交じる物語を読みたい人
- がっつりしたエロを読みたい人
愛憎入り交じる物語を読みたい人
例えば、「体だけ求めて、受けを、自分に服従させようとする攻め」と「体だけでなく、いつか心も求められる日が来ることを信じて、攻めに執着する受け」といった、ドロドロとした愛憎劇を読みたい人には、あまりおすすめできません。
「俺しか知らないカラダ」は、攻めは結構早めに、受けのことを好きになり、受けに頻繁に会いに行くようになります。
受けも、攻めにすがりつくのは最初だけで、あとは結構受け身です。
昼ドラみたいな物語と比べると、「俺しか知らないカラダ」は平和な物語です。
がっつりしたエロを読みたい人
「俺しか知らないカラダ」のエロシーンは、比較的普通かなと思います。
「僕は君のいいなり」と同じなのですが、1つ1つのエロシーンは特別長くなく、攻めの愛撫や突きの1つ1つに、受けが様々な反応をしたり、受けが徐々に感じ始め、最終的によがり狂う、といった濃厚なエロが描かれている訳ではありません。
電話越しや公共トイレでの行為など、ノーマルではないシチュエーションは少しありますが、激しいものではありません。
受けの感じ方もいたってノーマルです。
「俺しか知らないカラダ」はタイトルに「体」が入ってはいますが、真面目な受けを抱いてみたら、どちゃシコ、どエロい体だった、みたいな展開はありません。
他作品との違い
「俺しか知らないカラダ」と似たような漫画と比較した感想をまとめます。
「僕は君のいいなり」著者:あがた愛
- 「攻めを好きな受けが、攻めの横暴を我慢する」という構図は「僕は君のいいなり」も同じ
- 絵は「俺しか知らないカラダ」の方がリアル
- 「俺しか知らないカラダ」の方が、変態プレイは少ない
>> 僕は君のいいなりの感想を読む
読了感
「俺しか知らないカラダ」の予想読了感をまとめます。
欲求不満な人
欲求不満ぎみな時に、「俺しか知らないカラダ」を読むと、受けがとても羨ましくなると思います。
「俺しか知らないカラダ」の受けは、欲求不満気味です。
最初は勇気を持って、攻めに乞います。
しかし、その後は、恥ずかしがって、なかなか言えません。
欲求不満気味で、それを言えない人にとっては、自分から求めることができない受けに共感しやすいと思います。
そして、自分から積極的に求められない状況で、相手の方から求めてくれることに、受けと一緒に幸せな気分を味わえると思います。
一目惚れは存在しない派の人
人を好きになるには明確な理由があるという考えの人には、「俺しか知らないカラダ」は少し淡白に感じるかもしれません。
受けが攻めに惚れた理由は、物語の中であまり詳しく説明されていません。
さらに、攻めが受けに惚れた理由は、あえて誇張していうと、受けの健気さだけです。
そのため、なぜ好きになったのか、なぜそんなに強く惹かれ合うのかが分からず、よく分からないまま物語が終わるかもしれません。
感想まとめ
「俺しか知らないカラダ」を読んで私は、とにかくキャラクターが好きでした。
攻め、受け共にです。
攻めの気がきく性格にとても好感が持てますし、自分も細やかな気がきく人間になろうと、改めて思いました。
受けの方は、彼の健気さに愛しさが込み上げて、幸せになってほしいと強く感じました。
読み進めていくうちに、幸せになっていく受けを見て、自分も嬉しくなりましたし、幸せをおすそ分けしてもらった気持ちになりました。