イラストコラム

絵が思い通りに描けないのはどうして?

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たまにTwitterなどで「描いてみたけど、思ったような仕上がりにならなかった」というようなツイートを見るので、描きたい絵を描ける人は、何を知っているのかを考えてみようと思う。

描きたい絵を描ける人は「違う、そうじゃない」を知っている

「かっこいい絵」を描きたい場合で考えてみる。
かっこいい絵を描こうとして、いざ描いてみると、思っていた感じとは違う結果になってしまうのは、「かっこいい」が、どんな構造から成り立っているのかを知らないためである。
理屈で言えば、「かっこいい絵」を描くには、「かっこ良くない絵」を描かないようにすれば良いということになる。つまり「かっこいい絵」を描けるかどうかは、「かっこいい絵」の反対をどれだけ知っているかに比例すると、私は考えている。
試しに、「かっこいい」の反対を思い浮かべてみてほしい。果たして何個、思い浮かぶだろうか。

「かっこいい」
 ↑↓反対
「愛らしい」
「幼い」
「顔が不細工」
「ファッションがダサい」
「言動が頼りない」
などなど・・・。

「かっこいい絵と、かっこ良くない絵の違いをどれだけ深く把握しているか」が、「かっこいい絵を描ける」かどうかに掛かっている。

以下は、かっこいいと、愛らしいをそれぞれ表現した例である。

以上の例は、どちらがかっこいいかは、一目瞭然だと思う。
そこで次は、似たテーマと構図で、「かっこいい/愛らしい」の違いがある例を見てみる。

これも、性別の違いがあるから、まだ分かりやすいと思う。
そこで、性別を男性に固定してみる。以下の例は、「手を前に出す」というポーズを固定して、所作・顔つき・体型・ファッション・アングルを変えた例である。

さて、あなたはどれが一番「かっこよく」感じるだろうか。
次は、ルックス(外面)と、所作(内面)を入れ替え、外面と内面にギャップがある状態を見てみる。

この場合は、あなたはどれが一番「かっこよく」感じるだろうか。
違いを比較することで、あなたの「かっこいい」と感じる感性が、ルックスとポージングがどういう状態の時か、少しは把握できたのではないだろうか。これが、「どんな構造から成り立っているのかを知っている事」だと、私は思う。

違いをどれだけ深く把握しているか

自分が良いと感じる物と、良くないと感じる物を比較し、違いを深く理解している人が、描きたい絵を描ける人なのだと、私は考える。
試しに、もっと細かい部分を比較していってみる。
以下は顎の太さを変えた例である。

自分がかっこ良いと感じる輪郭のラインは、どのようなバランスをしているのか把握することで、満足のいく顔が描けるようになるだろう。
次は、顔のパーツのバランスを変えた例である。

かっこいいと感じる場合と、不細工に感じる場合の、顔のパーツの配置の違いを知れば、かっこいい絵を描けるようになるだろう。

次は透明感のある絵を描きたい場合で考えてみる。
透明感のある絵と、ない絵は、どう違うのだろうか。
以下は、透明感がある絵と、重厚感のある絵の例である。

透明感は、どうやったら出るのだろうか?色が明るいからだろうか?試しに、色はそのままで、塗り方を入れ替えてみる。

どうだろうか?今度は色が暗い方に、透明感を感じるのではないだろうか?つまり、透明感がある絵は、色が明るいのではなく、色がグラデーションしていると分かる。

自分の感性を大事にしている人が、描きたい絵を描ける人になれる

このように、自分が描きたい絵について、そうじゃない状態を知ることで、描きたい絵を描けるようになると私は思う。
今は、描き方動画や3Dアプリなど、描くのを助けてくれるものがたくさんある。しかし、描き方動画や3Dアプリをいくら活用しても、描きたい絵を描けるようにはならない。
3Dポーズアプリは、果たしてあなた好みのプロポーションをしているだろうか?一度自分の好みを追求して、3Dポーズアプリとの違いを見つけてみてほしい。

ネットで与えられる情報を鵜呑みにせず、自分の感性を大事にしてほしいと、私は思う。そして、自分が良いと感じないものも大事にしてほしいと思う。そうすることで、自分の描きたい絵をいつも描ける、楽しいお絵描きライフを送れると、私は思う。

  • この記事を書いた人

森武絵辰

福岡生まれ福岡育ち。布団と小説が、三度の飯より好き。

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